理科教育の仕事をしています。新しい放射能教育副読本、突っ込みどころ満載の酷いものです。
新しい原子力神話「放射線は怖くない」 を作り出そうとしています。
東電社長の西沢俊夫氏が役員を務める「日本原子力文化振興財団」という
世にいう原子力ムラがところ作った副読本なので、福島で行われていることを正当化しています。
1月中旬に京都の大学で、この副読本に問題を感じている教職関係者が集まって、
2日間にわたってシンポジウムや勉強会を開きました。(私も出席しました。)
この副読本の御用説明会に行った時の様子を書いたものがココにあります。
ちょっと長いですが、興味深い内容です。
---★いただいた資料を要約してみました---------------------
内部被ばくの懸念から給食問題がクローズアップされていますが、放射能教育において、この内容の副読本を子ども達が手にし、この内容が子どもたちの放射能に関するすべての知識とならないように大人が、親が真実を学ぶ必要性を感じます。できれば事故直後の副読本は公平であるためにも第3機関による作成にし欲しかったと思います。
福島第一原発事故で文科省より発行されていた放射能教育のための副読本の内容と異なる事態が生じたということが国会でも追及され、昨年4月文科省は見直しの方針を示し、10月には新しい副読本が発行されました。
見直しが図られた以前の副読本は突っ込みどころ満載なのですが、すでに昨年4月時点でウェブサイト上からは見られなくなっています。
●以前の副読本の一部の内容
・小学生向け「わくわく原子力ランド」では、「原子力発電所では放射性物質が外に漏れないよう5重の壁でしっか りと閉じ込められています。」
・中学生向け「チャレンジ!原子力ワールド」では「大きな地震や津波に耐えられるよう設計されている。」
●さて、今回見直しがされた副読本の中身はというと、
・原子力発電所や関連施設での事故やトラブル、その隠蔽が相次いでいることが社会ではこれだけ明るみに出ていても、こうした問題には一切触れていない。
・高レベル放射性廃棄物の地層処分が有効だと説明はしても、どの自治体からも候補地がないという現実には触れていない。
未来を担う子どもたちが幅広い意見や問題の本質を見抜く力を得るための「両論併記」の方法が取られていません。
・そして、原子力発電・エネルギー問題に関する記述をなくし、自然放射線・放射線の利用・放射線健康影響・事故時の対策に絞った内容(詳しくはhttp://archives.shiminkagaku. org/archives/csijnewsletter_ 010_hayashi.pdf)となっています。この資料は10ページほどありますが、分かりやすい内容ですので、お子さんが手にする副読本の解説書としてお母さんが読んでおかれることをお勧めします。
・教師用の解説には「100ミリシーベルト以下の低い放射線量と病気の関係においては明確な証拠がないことを理解できるようにする」と書かれているそうです。上記資料の5ページに解説。
原子力推進の立場から原子力発電を削除したら、このような副読本になると思われます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故がなければ、このような副読本もアリだったかもしれません。しかしながら、原発事故は起きてしまいました。原発事故のことではなく、放射能汚染が収束するには数十年では無理でしょう。現在の子どもたちは、生涯に渡って放射能と共存することになります。故に、放射能から身を守る術を身につけなければなりません。これは、読み書きソロバンよりも優先する必須の学習項目です。文部科学省は、現実を真摯に受け止め実効的な副読本を作成すべきです。新教科を作っても良いかもしれません。
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