東京都港区のお母さん(中村様)より 詩を頂きました。
もしも、私たちが渡り鳥ならーすべての母たちへ
中村純
裸の凛とした肢体で
私たちはただの母だ
裸の凛とした肢体で
私たちは君たちを産んだ
君たちが産まれて 分娩室で裸の私たちの胸にのせられたとき
君たちは懸命に生きようと乳を吸おうとした
何もないことがしあわせだった
私たちは裸でも生きていかれる
素足のまま 歩いてゆける
もしも私たちが渡り鳥なら
何も持たず
安全な食べ物のあるところを目指して
君たちを育てられるところを目指して
今すぐにでも跳び立てる
ただ母としてただの裸のいのちとして
今私はただの母に戻りたい
君を産んだあの日
素足で世界に降り立って
世界と和解した夜
何度でも君を産みたいと願ったあの夜 はだかの私
はだかの君
お金も家もしがらみも仕事も何もかも棄てて
もう一度君と生きることだけを考えて
君を連れてここから跳び立ちたい
そしてすべてがはじまる
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